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 interlude

 

  暗い。

 頭がグラグラする。

 気分が悪い。

 ここはどこだろう。

 クラウドはどこに居る?

 早く、手を握って欲しい。

 なんだか具合が悪いみたいだから、ラボに連れて行ってくれ。

 抵抗なんて、しないから──────。

 

 

「はー、上手くいって良かったな!」

「実は英雄に殺られるんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ!」

「セフィロスはまだおねんねだ」

 緊張が解けて、騒がしい車内。犯行メンバーの一人に抱えられるようにして、セフィロスは眠っていた。

「気を抜くなよ。まだ逃走中だ」

 リーダーの言葉で静かになったメンバーたち。一人が、セフィロスにスリプルを掛け直した。

「それにしても、あの手紙ったら無いよな。あの下世話な写真!」

「お前だって面白がってただろうが」

「そりゃそうだろ。あのセフィロスが実は男に抱かれてるんだぜ? しかもこんな美人。興奮するだろうが」

「おいおい、目標は神羅の弱体化だろうが。こいつを犯すのはおまけみたいなもんだ」

「とか何とか言って、メインディッシュってくらい楽しみにしてるくせに〜!」

 作戦が成功して気分が高揚している男たちが口々に大きな声で話す。

「あんたも、これで満足だろ?」

 話の水を向けられたリーダーの男は、セフィロスの寝顔を覗き込む。さり、と前髪を掻き上げてやり、愛おしそうな手つきで梳いた。

「ようやく、この子を解放できるんだ。君達と一緒に行動して本当に良かったよ」

 うっとりと呟く。その瞳は狂気に囚われていて、話を振った男が息を飲む。

 この子は、生まれた時からサンプルとして扱われ、神羅で殺戮人形として飼い殺されている。美しい体を血で汚し、近頃は偽りの愛を押し付けられて、抵抗する術を奪われて。

「この子を解放できるのは、私しかいないんだ」

 その感情こそが偽りの愛と歪んだ呪縛だということに、本人は気がつかない。逸脱した思考はどんどん軌道を逸れ、ついに狂った犯行へと手を染めた。

 リーダーの男は、つい先日まで科学部の研究員だった。寡黙で真面目な気質で研究に邁進し、徐々に重要なプロジェクトに抜擢されるようになっていったが、先日突然退職を願い出て、行方をくらましていたのだった。

 彼は、セフィロスのメンテナンスに関わるようになってから狂った。セフィロスが他の生物の細胞を埋め込まれた実験体だと知ってから、だんだんと神羅のあり方に疑問を持つようになった。そんな折、星命学の過激派と接触する機会があったのだ。そこから、どんどんと方向が逸れていったという具合だった。

「まあ、なんでもいいけどさ。こいつ、後でヤらせてくれるんだろうな?」

「……ああ」

 お前たちのような薄汚れた人間に、この子を穢させたくはない。内心ではそう思いながらも、今回の成功はメンバーがいなければあり得なかったものだ。

 ……仕方がない。少しの辛抱だ。

 男は再びセフィロスの銀糸を梳いた。

 あの、写真。セフィロスを悦楽に啼かせる、クラウド・ストライフという一般兵。

 憎い。この子の何をも知らずに、のうのうと隣にいるあいつが憎い。

 この子を抱いて、正しい愛でくるんであげた後、どうやってあいつを始末しようか。

 ギラリ、と怪しい光が瞳によぎった。

「はい、お疲れさん」

 メンバーの一人の間延びしたような声で、男ははたと我に返った。エンジンが止まる。アジトに着いた。

 数人がかりでセフィロスを抱えて、アジトに連れ込む。番をしていたメンバーが出迎え、ベッドがある部屋へとセフィロスを運び込んだ。鎖をほどかれ、汚れてしまった衣服を脱がされている途中の体に、リーダーの男が科学部から盗み出した首輪を嵌める。

「ぅ……」

 セフィロスが眉間に皺を寄せて、苦しそうな息をこぼした。

「よしよし、もうちょっと我慢してくれ」

 長身の美しい体から全ての衣服が取り払われると、周りにいた者は息を呑んだ。

 しなやかに筋肉が乗った色白の肢体。無数の鬱血痕が散らばっているそれは、酷く劣情を煽るものだった。

 その体は、決して女性的ではない。普通の成人男性よりも長身で、鍛えた体は筋肉質だ。だが、その整った顔はどうだ。流れる豪奢な銀髪は。絹のようになめらかで、白く輝く肌は。

 成熟した部分と、無垢な部分。男性美と、女性美。様々に対局なものを同時に併せ持つことが、アンバランスで危うい色気を醸し出す。

 囃し立てる者、食い入るように見つめる者。情交の痕を色濃く残す体に、男たちは欲情する。その痕は、明らかにその身が「抱かれている」事を主張する。男に抱かれる英雄への欲情は、自分よりも強い同性を屈服させたいという征服欲もあるだろうか。複数の腕が、白い肢体に伸びる。

「まだだ! まずは休ませて、手入れをしてやってからだ!」

 リーダーの男がピシャリと言った。途端に上がる不満の声。それでも男たちは渋々といった様子ながらも見張りを一人残し、これからセフィロスを監禁することになる部屋を後にした。

「セフィロス。やっと君を解放してあげられたよ」

 真っ白なシーツに包まれて眠る真っ白な体、銀の髪。最後に出て行くリーダーの男の不気味な言葉が、その上へとこぼれ落ちた。

 

 目を覚ましたら、まったく見覚えのない部屋の寝台の上で寝ていた。

 セフィロスはゆっくりと体を起こした。痛む頭をなんとか動かして、ここまでの記憶を辿った。そして、自分が誘拐された事を思い出す。次に、クラウドの事が頭によぎりひやっとした。クラウドは無事だろうか。あの後、一体どうなったのだろうか。

「目が覚めたのか」

 突然かけられた声にびくりとした。顔を上げると、そこには見知らぬ男がいた。

 男は素顔を晒していた。見た所、武装もしていない。年の頃は20代後半から30代前半といったところか。茶色い髪に茶色い目で、今時のおしゃれなファッションだった。

「クラウドはどうした」

「クラウド……?」

「おれと一緒にいたやつだ」

「ああ、あいつなら無事だぜ? 俺たちが用があるのはあんただけだ」

 その言葉が信ずるに値するかは分からないが、少しホッとした。

「ここは……?」

「俺たちのアジトさ」

「……おれを攫った目的は?」

「さあ? 教える義理もないだろう?」

 大方、神羅の抵抗勢力だろう。自分がいなければ、戦闘力は大幅に下がるだろうから。最も、自分一人抑えたところで、神羅が世界最強の軍を所有している事実は変わらないけれど。

 しかし、それならばなぜおれを殺さなかったのだろう。わざわざ捕まえる理由がよく分からなかった。考えられることといえば……。

「……おれを捕まえたって、寝返ったりしないぞ」

「そんなつもり毛頭ないさ」

 フン、と鼻で笑われ、セフィロスはむっとした。

「さて、起きたんならちょっと食え」

 食事?なぜそんなものを施す?ますます分からない。

「……要らない」

「ダメだ。少しでも食わせろと言われている」

 セフィロスは、こんな場所に長居は無用とばかりに、寝台から立ち上がろうとした。目の前の男など、斬り伏せるまでもなく倒せる。

「おっと、大人しくしてろよ。抵抗は出来ないはずだぜ?」

 構わず、セフィロスは目の前の男めがけて拳を叩き込んだ。

 しかしそれは、パシっという乾いた音を立てて、男の手によって受け止められた。その事実をセフィロスは一瞬理解できず、茫然とした。そして、次の瞬間には男に床に組み伏せられた。ダンっ、と床が鳴り、セフィロスの体が痛みに軋む。

「こら、大人しくしろって」

 じたばたともがくセフィロスに男は乗り上げて体重をかける。音を聞きつけてか、バタバタと何人か入って来た。

「どうした! ……ああ。起きたのか」

「こいつ、抵抗しやがるんだ」

「まあ、何が起こっているのか分かってないんだろう」

 リーダーの男が、セフィロスの前に立つ。

「やあ、セフィロス。気分はどうかな?」

「……最悪だ」

 本当に最悪だった。声で分かる。こいつは誘拐される直前に自分が対峙したリーダー格の男だ。そして、おれはこの男を知っている。こいつは神羅の人間だったはずだ。

 あの時、声だけですぐに見破れなかった自分自身に舌打ちをしたい気分だった。宝条の指揮下で自分に関わる人間はあまりに多い。日によっても担当者が変わるため、一々気にしてこなかった。それに、最近は見かけなかったから、忘れかけていた。

 なぜ、この男がこんな所に、という疑問はすぐに霧散した。単純な話だ。神羅を裏切った、ただそれだけの事。セフィロスは、自分のメンテナンスに関わっていた、元研究員であるリーダーの男を睨みつけた。

「こんな事して、何になる」

「僕は君を解放したかっただけだよ」

 解放? 一体何を言っているんだ? 訳が分からない。……おかしい、なぜおれはこの体勢から抜け出せないんだ? こんな見張り役の一人くらい、赤子の手を捻るより簡単に突き飛ばせるはずだ。

「セフィロス、暴れちゃダメだよ。君にはラボのと同じ首輪を嵌めたんだよ」

 その一言に、セフィロスは固まった。ラボの首輪。それは自分の戦力を大幅に削ぎ落とす代物だ。科学部門の、それもごく一部の人間しか存在を知らない、自分を制御し支配するための道具。そんなものがなぜここに。

「セフィロス、ベッドに戻ろうか」

 リーダーの男が言う。……持ち出したのは、こいつか。

 自分の上から見張り役の重みがどき、左右からまた別の男たちに押さえつけるように抱えられ、引きずるようにしてベッドに戻された。枕を背に座らされる。

「食事にしよう」

 両手を背中に回され、拘束具を嵌められる。足も同じようにして拘束された。いよいよ抵抗出来なくなったセフィロスが男たちを睨みつけるが、構わず食事の乗ったプレートが準備される。

「口を開けて」

 男たちに嫌がる体を押さえつけられ、顎も抑えられた。その口元にリーダーの男がスプーンを差し出す。

「毒なんて入ってないよ」

 口を開こうとしないセフィロスを見て、リーダーの男が自分で食べて見せる。それでも食べる事を頑なに拒んでいると、不意に鼻をつままれた。

 驚いてとっさに口を開いてしまった。そこへすかさずスプーンが押し込まれる。スープを流し込まれ、飲み込むようにと顎をそらされる。セフィロスはついに観念して、仕方なく流し込まれた液体を飲み込んだ。

 今は、無駄な抵抗をしても仕方なさそうだった。諦めて、大人しく口に運ばれる食事を食べはじめる。その様子にリーダーの男は満足したようで、ゆっくりと食事を与えられた。

 水も飲まされ、最後に口元を拭われる。知らない男たちに囲まれた状態で、食事の介添えをされるなんて屈辱的だったが、逃げ出す機会を窺うためにも今は大人しくしておく。

「次は風呂だ」

 屈強な男に手足の拘束が外され、ほっとしたのも束の間、手は前にして再び拘束された。先ほど自分をベッドまで引きずった二人に今度は浴室に連れて行かれる。

「……おい、風呂くらい一人で入らせてくれ」

「ダメだ。抵抗ができないことをその頭がしっかり理解するまで、自由は一切与えられないよ」

 リーダーの男の言葉に、セフィロスはため息をつく。そして、屈辱に耐えながら体を洗われた。

「お前、一体何がしたいんだ」

「君を解放したかったんだと言っているだろう?」

 全く、埒が開かない。泡まみれになりながら、どうしたものかとセフィロスは考える。

「髪の毛も洗ってあげよう」

 丁寧に洗髪までされて、温かい浴槽につけられて。解放、の意図も目的もさっぱりわからないセフィロスは、釈然としない気持ちで入浴を終えた。外に出ると、大きなバスタオルで包まれて体を流れる水滴を丁寧に拭われた。まるで子供の時にラボでされていたようだ、とセフィロスは思った。そして、それがあながち間違いではないことに気づく。目の前のリーダーの男だって、子供の時こそ居なかったものの、あれやこれやと自分の世話やらメンテナンスやら、実験に関わっていたではないか。

 解放? 一体こいつは何を企んでいる? こうして監禁し、まるで子供の世話をするように扱うことが解放? 何から? 何も分からないままで、セフィロスは苛立ちが募るばかりだった。

 

 セフィロスは再びベッドに戻された。しかし、服が与えられない。訝しんでいると、リーダーの男が言った。

「君を奪取するにあたり、仲間たちには世話になった。その見返りを与える約束でね」

 ちらり、とメガネ越しの視線をよこされる。

「少し辛いかもしれないが、ひどく扱わない約束はしている。少し我慢するんだよ」

 そう言って、セフィロスの腕の拘束具をベッドのパイプに括り付け、部屋から出て行った。そして入れ替わりでセフィロスを誘拐した男たちが部屋に入って来る。先ほど両脇からセフィロスを押さえつけた屈強な二人もいる。

 ここに連れてこられてから今まで、全く話が見えない。今はまだ逃げられる状況でない事が酷くもどかしく、じりじりとセフィロスを焦らせる。どんな時でも冷静沈着な氷の戦士と言われたセフィロスだが、こんな事態は初めてだった。その実力が抜きん出ているからこそ、捕虜になったことなど無かった。

「何が目的だ。はっきり言え」

 焦りは禁物だ、と自分に言い聞かせながら、努めて冷静な声を出した。男たちはニヤニヤと笑っている。

「目的か〜。この状況で分かんない?」

 先程自分を抑えたうちの、髪が茶色い男が言った。

「あんたの横に置いてあるもの。何か分かるでしょ?」

 視線を横に向けた。そこにはサイドテーブルがあって、その上には風呂に入れられる前には無かったものがあった。

 セフィロスは目を見開き、そして次に男たちをまじまじと見た。そこにあったものは、ローションのボトル、コンドーム、それからセフィロスには利用意図が分からないがロクなものではなさそうな物が数点。

「……おい……」

「分かってくれた? 今の目的はあんたの身体」

 セフィロスは信じられなかった。

「おれと性交渉をするのか! なぜ!」

「なんでって、あんたを犯(や)りたいからに決まってんじゃん」

 は? おれを犯(や)る……?

「そんなびっくりするって事は、あんた今まで、そういう目にあったこと無いの?」

「あるわけないだろう!」

 一人だけおれをそういう対象として見ていて、おれも抱かれることを受け入れている相手がいるが。その一人、クラウドは別。あいつは特別だ。他におれを性的な目で見る男なんて聞いたことがない。

「こんなガタイが良い男を抱きたい奴がいるか!」

「へぇ〜? 案外あんたが気付いてないだけじゃない?」

「てかさ、あんた、そんだけキスマークついてて言い逃れはできないでしょ」

「男に抱かれてるんだろう」

 セフィロスは自分の体を見て愕然とした。全く、氷の知将と言われたおれも落ちたものだな。今の今まで全く気がつかなかった。あまりの事態に神経を尖らせていて、それどころではなくて。

 一人がこちらに近づこうとする。セフィロスは咄嗟にベッドから飛び降りようとしたが、腕の拘束具がベッドに繋がれているせいで立ち上がることさえ叶わなかった。

「やめろ! 悪趣味だぞ!」

「なんで? 良い趣味だと思うけど?」

「男を強姦して何が楽しい!」

「あんたを犯せるんだぜ? 楽しいに決まってるだろ?」

 逃れようと尻で後退るも限度があった。あっという間に男たちとの距離がなくなり、複数の腕が白い身体に伸びる。

「嫌だ! 離せ!」

「こら! 暴れるな!」

 うつ伏せに身体を組み伏せられ、横を向いた頭も枕に押し付けられる。

「観念しな。この状態で抵抗なんざいくらあんたでも無理さ」

「いい子にしてれば気持ち良くしてやるよ」

 複数の下卑た笑い声が頭上から落ちてくる。

「そら、力抜けよ?」

 何人もの腕で押さえつけられた体の尻だけを高く上げさせられ、膝をついて足を開かれた。

「犬みたいだな。さて、まずはあんたが怪我しないように解してやる」

 ありがたく思えよ、という声と共に、後孔に滑(ぬめ)ったものが宛てがわれる。

「指だ、うまくしゃぶれよ」

 つぷり、と体内にローションを纏(まと)った異物が挿入された。押し出したくて腹に力を入れると、尻たぶをぴしゃりと叩かれる。

「怪我すんのはあんただぜ」

 抑えられた頭、溢(こぼ)れる長い髪。ゆっくりと銀髪を悪戯に梳かれる。セフィロスは屈辱にまみれながら男の指を根元まで受け入れさせられた。

「ック!……は……」

「さて、どこかな?」

 入り込んできた指が、体内をまさぐる。気持ち悪くて仕方がなかった。クラウドの名を心の中で何度も呼ぶ。嫌だ、おれにこんなことをしていいのはお前だけだ。クラウド以外に体を開くなんて耐えられない。

「中キツいな、これはすごく締まりそうだ」

「やっぱり上物か」

 クラウドとするのはあんなに気持ちが良いのに。体をまさぐられるのがここまで気持ちが悪いことだとは知らなかった。

「声、出していいんだぜ?」

「あれ、全く反応してないんじゃないか?」

 クチ、ヌチ、と耳を塞ぎたくなるような粘着質な音を立て後孔を指で解されながら、ちからなくぶら下がる前を握られる。

「う……」

「悦くないのか?」

 かけられた声に首を振る。

「ちょっと待て、今探してるから……」

「ひあっ!?」

 途端に、背筋を快楽が駆け抜ける。セフィロスの白い背中がビクンと反らされた。

「お、ここか。前立腺」

「嫌だ! あっあっ!」

 嫌だ、感じたくなんてない。こんな男たちの手で好きに弄られておれは感じるというのか。最悪の事態じゃないか。

「よーしよし、もっとぶっといの突っ込んでやるからもうちょっと待てよ? あんた抱かれ慣れてるんだから、すぐ解れるさ」

 ……今、なんて言った? 抱かれ慣れている? なぜ知っているのか。キスマークだけで慣れているかどうかの判断なんか付くのだろうか?

 セフィロスの疑問など知る由もない男たちは着々と準備を進める。だが、望まない性行為を強いられているセフィロスの性器は萎えたままだ。

「あー、これ、薬使わないとダメそうだな」

「もっとあんあん言うの見たいしな」

「薬だと?」

 ぎょっとして起き上がろうとするも、押さえつけられていて叶わない。

「大丈夫だ。あの元研究員がくれたやつ、体に害は無い」

 パキ、という音がしたかと思うと、後孔から何か挿入された。それがろくでも無い薬だということは直ぐに察せられた。

「すぐ効いてくるぜ」

 再び指を挿入され、中を擦って解される。そのうちに指は二本、三本と増やされ、中を広げるように刺激される。

「あうっ! 嫌だ! ああ!」

 とうとう、恐れていた薬の効果が出始め、セフィロスは絶望した。

「これ、中が痒くて痒くて、掻いて欲しくてたまんなくなるらしいぜ」

「かわいそうにな」

「俺達のイチモツで散々掻いてやるぜ」

 息が上がり、男たちの声も遠くで聞こえるように感じ始める。とにかく痒くて、セフィロスはもうそこを掻いて擦ってもらうことしか考えられなくなる。

「やああ! あああ! 掻いて、掻いてぇ!」

 先程まで気丈だった最強の男が、犬のように四つ這いで高く上げた腰をくねらせ、後孔への刺激をねだる。その扇情的で倒錯的な姿は、男たちをますます煽った。

「よし、そろそろ良いだろう」

「誰からヤる?」

 自由にならない体をくねらせ泣き悶えるセフィロスを押さえつけながら、男たちが順番を決める。

「ゴム使えよ。チンコが痒くてたまんなくなるぜ」

「それは辛い」

 セフィロスはもう、下卑た笑いを浮かべた男たちの犠牲になるしか無かった。とうとう、入り口に亀頭の先を押し付けられる。

「力抜いて受け入れろよ……ッ」

「ひあああ! あああ!」

 熱を持ち、痒くて痒くて仕方ない隘路(あいろ)を剛直で擦られ、男に抱かれることに慣らされた体は歓喜に震える。

「あん! ひうう!」

「うあ、すげーイイ」

 擦られ、突かれ、揺すぶられて、セフィロスは背後から犯されながら悦がり泣く。征服している側も、とろとろと柔らかく蕩け温かく、それでいて絶妙に締め付けてくる後孔に余裕が無い。

「これは名器だ」

 眇めた目つきは獲物を屠(ほふ)る雄の顔。こめかみから無精髭までを汗が伝う。

「ここがイイんだな?」

「ああん! ひあああ! そこはやあああ!」

 前立腺をごりごりと抉るように責められ、セフィロスは息が止まりそうなほどの快感に襲われる。

「こっちもだ」

「いああああ! やめてええええ!!」

 最奥の結腸まで勢い良く突き上げられ、セフィロスの性器は衝撃に少量の精液を飛ばす。長いストロークでピストンされ、時折最奥までずっぷりと嵌めたまま揺すぶられ、セフィロスは押さえ込まれた身を暴れさせて泣きじゃくる。

「やああ! しぬ! しんじゃうう!」

「この薬すごいな、ここまで飛ぶとはな」

「さあ、しっかり相手しろ、まだまだ後がつかえてるぜ?」

 ぴしゃり、と尻たぶを叩かれ、再び強いストロークでピストンされる。セフィロスの下腹部がびくびくと波打ち、足がガクガク震えだす。

「おっと、イクのはまだだ。全員相手してもらわなくちゃいけないからな、射精は管理させてもらうぞ」

「んぐっ! 痛……!」

 性器の根本を何かで戒められ、痛みにセフィロスは呻いた。

「や! 痛い!」

「我慢だ」

「心配せずともちゃんとイかせてやるさ。これからは毎日可愛がってやるよ」

「あん! はぁ……っ……あぅん!」

 結合部からヌチュ、グチュ、という卑猥な音が響く。

「クッ! 締めとけッ!」

 男は最奥に挿入した状態で動きを止め、がっちりとセフィロスの腰をホールドして勢い良く放つ。やがて吐精を終えた性器を抜き出すと、つけていたゴムを外す。べしゃり、と白濁が中から溢れ出した。

「は……あ……」

 中途半端な状態で性器を戒められたまま放り出されたセフィロスが、うつ伏せに崩折れた。無意識に太ももを擦り合わせる体をぐいと仰向けにひっくり返される。

「次は俺と楽しもうか」

 次の男は正常位で挿入してきた。

「あっ!」

「ほらほら、挿入(はい)ってくぜ?」

 膝を曲げ高く掲げられた足、そのつま先をきゅっと丸めるように力を入れてセフィロスは快楽に耐える。やがて肉棒が最奥に届き、張り出した亀頭で弱点を擦り上げられるともう我慢ができない。

「やああ……もうイきたいぃぃ! ンッ……!」

 涙を零しながら嫌々と頭を振るも、吐精を許してもらえない。ぐちゅぐちゅと粘着質な音を立てながら抜き差しされる。

「はあん! やああああ!」

 泣きじゃくりながらびくびくと震える姿に、男たちはますます興奮した。

「なあ、男で尻に挿れられると、こんなになるもんなのか?」

「いいや、こいつは抱かれ慣れてるんだよ。さっきから前一切触ってないぜ?」

「そういやそうだよな」

 セフィロスの性器はパンパンに張っているのに根元をリング型の拘束具で戒められ、とろとろと透明な粘液をこぼす。

「かーわいいな」

「あう!」

 ピン、と指で性器を弾かれセフィロスが悶える。

「あんんん! イきたい! イきたいぃ!」

「ほら、もうちょっと我慢だ」

「ひうぅぅ!」

 足の間を屈強な男に陣取られ、足を抱えられてゆさゆさと揺すぶられる。その度にパンパンに腫れた性器と、ずしりと重くなった根元の袋が揺れる。

「神羅の英雄も、こんだけ立派なイチモツ持っててネコ専だなんてなぁ」

「ひあ! あ! あ! あ!」

 最奥を狙ってズンズンと突き上げられ、セフィロスが切羽詰まった高い悲鳴を上げた。

「や! ダメ! ダメ! あっダメぇ!」

「お?」

「っク! なんかうねってやがる!」

 突然セフィロスが、背を弓なりにそらしビクンビクンと大きく体を痙攣させ、少しして糸が切れた人形のようにぐったりとベッドに沈んだ。

「今のってまさか」

「空イキしたぜこいつ」

 目を見開き、はぁはぁとセフィロスは荒い息を吐いている。抱いていた男は強い締め付けに持っていかれ果てていた。

「あーあ、もうちょっと楽しませてやろうと思ったのにな」

「次は俺だよお嬢ちゃん」

 明らかにバカにするために使われた呼称にセフィロスは睨みつけた。

「そんな顔しちゃって、かーわい」

「ひあ!」

 次の男がアナルに亀頭を咥えさせ、一気に押し入る。

「ああああ!」

「そろそろ一回出させるか」

 ようやく性器の戒めを外してもらい、横から伸びてきた手に竿を扱かれる。

「よし、咥えたままでイけ!」

「ひああああっ! あああああ!」

 性器を擦られながら一気にピストンの速度を速められ、あっという間にセフィロスは絶頂に押し上げられる。性器からピシャッと勢いよく白濁を吹き上げ、断続的に吐精をしてやがてぐったりと力を失った。

「俺もイかせてもらうぜ?」

 男は射精の余韻に浸るセフィロスを容赦なく攻め立てる。

「あんっ……あ……ふぅッ」

 陵辱の時間は、その後数時間続いた。

Please wait......

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